分譲マンション価格ってどうやって決まるの?元デベロッパー社員が解説します。

こんにちは!芦屋サンクスホームです。

リーマンショック以降、分譲マンションの価格高騰が続き、コロナウイルスの発生による販売活動の減速で過去最低水準の販売戸数となるなど、多くのニュースが飛び交っておりますが、そもそも不動産分譲マンションの価格はどのように決まっているかご存知でしょうか??

元不動産デベロッパー社員が土地取得やマンション価格の決まり方、販売について明かしていきたいと思います!

目次

  1. マンション用地の取得
    1-1 用地の取得方法
    1-2 価格の構成要素
  2. 商品の方向性の決定
  3. モデルルームの作成
  4. 販売時におけるマンション価格の決定について
  5. まとめ

1.マンション用地の取得

1-1 用地の取得方法

まずマンションがどのようにして作られているかご存知でしょうか??

簡単に言うと、マンションの用地を探し、そこに適した建物を建てて販売していると言う流れです。

そして不動産デベロッパーの用地仕入れ担当の社員は日々新規用地の取得に取り組んでおります。

情報の取得方法としては、信託銀行や大手仲介会社、地域の不動産会社だけでなく、めぼしいエリアを歩き空家を探すといった地道で前時代的な?こともしながら情報の取得に努めています。

会社によってその差はあるとは思いますが、一人の担当が一年間で買収する土地は平均して一物件程度です。もちろん二物件買収する人も三物件買収する人もいますので、一年間で一物件も買えない営業マンが何人かいることになります。

・・・・一年間契約ゼロの営業マンがいる。なかなかこんな業界はないのではないでしょうか。

一物件も買えなかった時の会社からの評価は考えたくもないですね。。。

という私も以前大手不動産デベロッパーでこの用地仕入れ部隊と呼ばれるところで営業をしておりました。

なかなか厳しい世界ですが、物件を買えた時の喜びはなかなか味わうことのできないものなので、やりがいのあるところではあるかなと思います。

少し話が逸れましたが、用地取得の営業マンはいかに早く物件の情報を仕入れて、どのようなマンションが建つのかを検討し、販売価格や工事費の算定を行なった上で、高い土地代を提示することで分譲マンションの素地となる用地を取得していきます。

1-2 価格の構成要素

それでは続いて、マンションの構成要素について説明していきたいと思います。

リーマンショック以降、アベノミクス、金融緩和の影響を受けて、マンション価格は歴史的高水準にまで高騰しております。

一般のエンドユーザーの方はこのように考えていらっしゃるのではないでしょうか。

「誰がこんなに高い不動産を購入するのだろうか」

「不動産会社が暴利を貪っている」

「オリンピック効果で建築費も高騰しているからそれに伴って上がっている」

どれも該当しているところですが、ここではマンション分譲事業という面から価格について考えてみたいと思います。

まず、マンション価格は大きく土地代と建物代から構成されています。土地代と建物代がマンション価格の約8割を占めており、それに販売費と利益が追加されて、マンション価格を構成していることになります。

用地を取得する時点では、建物代がいくらかかるものか、詳細な検討はできませんが、できる限り実際の建築工事費とのブレが小さくなるように精査しています。

例えば、1住戸あたり5000万円のマンションが100戸販売されているとすると、総売上額は50億円になりますが、その内の20億円が土地代で20億円が建物代といったところですね。

一般的には物件価格の高いマンションほど土地代の比率が高くなり、安いマンションほど建物代の比率が高くなります。

2020年現在の相場では一般的なファミリーマンションで70㎡の一部屋を作るのに約2500万円ぐらいかかることが多く、ここ数年大幅に建築コストは上昇しております。大規模マンションになればなるほど、建築効率は良くなり、安く建築することが可能になります。当然地域性によって建築コストの違いもありますので一概には言えませんが、一戸当たり2500万円程度コストがかかってくるとよほど土地を安価で取得できない限り、3000万円以下のマンションを建築するのは、かなり難しいと言えるのではないでしょうか。

2.商品の方向性の決定

続いてマンションの商品の方向性について説明していきたいと思います。

マンション分譲会社は土地を取得後、一部屋ごとの広さ、エントランスや駐車場などの共用部分について、設計事務所やゼネコンと一緒に決定し、用地買収時に決めた予算に基づいて商品の方向性を決定していきます。

高級物件になれば、地下駐車場を作ったり、天井高を高くしたり、外壁に高級な石を使ったりと様々な付加価値をつけていくことで高値で販売できるような商品を作っていきます。

当然、コストが上がればその分販売価格を高くしなければ、利益を確保することができませんので、そのバランスをうまく見極めて良いものを作っていきます。

コロナ発生後、テレワークの需要が上がっていることや非接触への意識の高まりから、各社様々な新規サービスを打ち出しています。

三菱地所レジデンスでは、箱の間というテレワーク用の3畳ほどの部屋を作っており、狭いスペースを有効活用しています。

https://www.mec-r.com/news/2020/2020_0605.pdf

日鉄興和不動産では分譲マンションのエレベーターで初めて非接触キーを搭載しました。

https://www.nskre.co.jp/company/news/2020/08/20200806.pdf

これは一例ですが、分譲マンションはやっと成熟した市場になってきてはいるものの、社会環境の変化に対応してこれからも新たな商品が生まれてくることでしょう。

3.モデルルームの作成

続いてモデルルームについて説明していきたいと思います。

分譲マンションのモデルルームを見て多くの人はこう思いませんか?

「モデルルームってなんでこんなに豪華にしているのだろう??」

はい。ずばり言います!!

「分譲マンションを少しでも高値で売るために豪華なモデルルームを作っています」

先述した通りですが、分譲マンションを販売するために、売り上げの5%程度の費用を使っています。

分譲マンションのデベロッパーはできるだけ早く、高く販売してしまいたいので、一般的に「青田売り」と呼ばれるように竣工前にその商品を販売します。

顧客はどうしても実物を見ることができないので、モデルルームを見て、こんな生活ができればいいなという理想を描いて物件を購入することになります。

もし、モデルルームが実際に購入するような何の家具、電気もない部屋だとすると、

「生活がイメージできない」

「思っていたよりも普通」

「結構狭いな」

といったような感想をお客さんに持たれてしまいます。

そうすると想定した金額で売れず、デベロッパーは赤字になってしまいますので、なんとかして豪華な内装を作って高値販売することを目指すのです。

オプションが多く、実物との差が非常に大きいので、少し事実と異なっているのでは?という疑念を持つのは自然なところかと思いますので、物件購入の際はどれがオプションでどれが実装しているものか確認した上で正しい判断ができるように心がけてもらえると良いかと思います。

またマンション販売方法については、多くの物件が物件ごとのモデルルームを作って、そこで販売することが多いですが、住友不動産を中心に合同モデルルームを作って、そこで全ての物件を売るという流れも強まっています。

また30戸程度の小規模物件では、少々販売期間が伸びても費用を抑えて販売したいという流れもあることから、竣工販売をしている物件も増加しています。

4.販売時におけるマンションの価格の決定について

それでは一番気になるマンション価格の決定について説明していこうと思います。

前述したように、用地を買収する際に販売計画を立てて、売り上げの予測をしています。当然ですが、実際の販売の段になると、当初想定していた金額での販売が難しいことももっと高値追求が可能であることもどちらの可能性もあります。

時には一戸当たり5000万円で売れると想定していたものが、6000万円で売れることもあるぐらいの幅があるのが、不動産の面白いところでもあり、逆もあるのが怖いところでもあるのですが。

不動産会社もできるだけ高くで売りたいと思っているので顧客の反応を見るために、価格公開せずに集客するサーベイ期間と呼ばれるものがあります。

そこで顧客の反応を見た上で販売計画を修正し、多くの物件は竣工までに完売するような価格設定をして、販売を開始していくのです。

なので、時には用地買収時よりも販売価格が上振れして利益率が30%なんてこともあり、暴利を貪っているという批判を受けるのも仕方ないかもしれませんね。一方、全く販売できず、安値販売、値引きを重ねていくと赤字ということも好況下にあってもざらにあり、これまでに多くの不動産デベロッパーが倒産していったのも頷けます。

事業を行なっている会社からするとそれだけハイリスクハイリターンな事業と言えるのかもしれませんね。

ちなみに現在はコロナウイルスの影響を受けて、販売が鈍化している状況にありますが、リーマンショックやバブル崩壊の時のように価格が暴落しないのは、財務状況に余裕のある大手デベロッパーの寡占が以前よりも加速していることが原因としてあります。

ただ、このままの状況が続くと、物件によっては値引きが発生してくるかと思いますし、商業地のホテルやオフィスを計画していたところをマンションになるといったことも考えられますので、中心市街地での価格調整が入る可能性はあるかと思います。

5.まとめ

今回は分譲マンションの価格に価格について解説していきました。マンションの価格の決定には様々な要因が含まれており、ここで触れたのはごく一部となりますが、これから新築マンションを買おうと考えていらっしゃる方に参考になれば嬉しいです。

芦屋サンクスホームでは買取、仲介、不動産活用など、多岐に渡るご相談を受け付けております。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。